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私は、2年半前から日高市にある埼玉県赤十字血液センターにおいて所長として勤務しております。
これまで40年間血液内科の医師として、白血病などの血液難病の患者さんの治療に当たってきました。抗がん剤を用いた治療や骨髄移植などによる治療をしてまいりました。その時に多くの血液を使わして頂いておりましたが、その時献血される方のご苦労をあまり考えなかったように思い反省しております。現在はその恩返しをするために埼玉県の患者さんのために埼玉県民の皆様から献血して頂いております。埼玉センターに参りまして初めて知ったことですが、原則としてですが、埼玉県民に必要な血液は埼玉県民の献血によるということです。これには大変驚きました。多くの県民の方もご存じないと思います。また、東京で献血される方も多いのではないかと思います。埼玉県で必要とされる血液は年々増加しております。このことは埼玉県の医療が年々向上していることを示す証と思っております。
埼玉県には7つの献血ルームがあります。一番大きいのが大宮駅にある大宮献血ルームで、それ以外に越谷ルーム、川越ルーム、所沢ルーム、熊谷ルーム、川口駅ルームなどです。川口駅ルームは平成18年5月に開設したばかりであります。それと共に全県を献血バスが回って献血して頂いております。ご協力よろしくお願い致します。
この献血制度は昭和39年に始まりました。それまでは血液銀行などを通じた売血が行われ、輸血を受けると半分の人が肝炎になりました(図1)。その年にライシャワー駐日大使が暴漢に刺され、入院先で日本人の血液を輸血されました。その時、私は医師になったばかりでしたが、日本人として大変申し訳ないと思いっておりました。しかし、大使は「私の体の中で、日本人の血がアメリカ人の私の血が混ざり合い、真の日米友好が始まっています。」と言ってくださり、ほっとした覚えがあります。その後、大使は輸血後肝炎に罹られ、自伝を読みますと晩年までその後遺症に悩まされたと書いてありました。それを受けて、日本政府が閣議で売血を止め献血に切り替えるという決定をしました。それを受けて日赤が献血事業を引き受けた訳です。その後5年後には、すべての血液が善意の方からの献血由来となり、肝炎は減少しました。その後、その善意の方々による献血制度は約40年間続いているわけです。
B型肝炎ウイルスの発見、C型肝炎ウイルス発見によってそれらの検査ができるようになり、輸血後肝炎の発症は激減しました。今ではそれらのウイルスとエイズウイルスはそのウイルスを1億倍に増やす方法が開発され、感染初期の微量のウイルスでも検査できるようになり、C型肝炎は最近の3年間に1人感染し、エイズウイルスの感染は最近の年間には全くありません。B型肝炎は残念ながら年間13人〜17人の感染があります。
この献血制度も少子高齢化の影響を受け、年々献血者が減っているのが心配です。私は医学生のころ血液難病に罹った高校の同級生に献血したことがあります。そのころは病院で採血し、その血液をすぐ同級生に輸血しました。同級生から「溝口さんの血って濃くていいわ」と言われ、うれしくなった覚えがあります。しかし、現在では献血を受け付けるのは日赤ですから、献血される方と患者さんの距離が遠くなったように思います。その献血される方と患者の間のコミュニケーションを高めたいと思いました。そこで、埼玉県赤十字血液センターのホームページを充実しました。毎日血液の在庫がどれぐらいあるかを血液型別に絵で示してあります。ぜひ一回ご覧になっていただければと思います。そこには、いろいろなイベントの紹介も載っていますし、輸血を受けた11歳の少年の詩も載っています。いろいろなご意見を頂くフォーラムもあります。また、若者に献血の大切さを伝えようと県の薬務課と相談し、高校、中学校、小学校へ出前授業に行ったり、病院、看護学校で講演をしたりしています。薬剤師を対象とした「顔の見える薬剤師になるために」という講演を薬局・病院薬剤師指導者研修会でしたこともあります。川越薬剤師会でもお呼びいただければ喜んで伺います。
血液事業に関しては平成15年に血液新法とよばれる「安全な血液の安定供給等に関する法律」と改正薬事法の施行されました。この法律は血液製剤でエイズが起こったことを反省しできたものです。血液新法では,@安全性の向上に努力すること、A国内自給を目指すこと、B国、地方自治体、日赤、医療機関の責務をきめたこと、C適正使用の推進などが決められました。この中で大切なことは血液事業は国が責任を持ってその計画を建て、実行することになったことです。
改正薬事法では血液製剤は「特定生物由来製品」ということで他の薬剤より一段と危険なものとされました。そのために、@患者さんにインフォームドコンセントを行うこと、A記録の保存をすること(医療機関では20年間)、B適正使用をすること、 C副作用報告を義務づけたことなどです。
今後は人工血液などの開発が進む可能性もありますが、それにはまだ時間がかかると思います。40年間続いたわが国のすばらしい献血制度をご理解いただきご協力をお願いし筆を置きます。 |
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溝口 秀昭 昭和13年10月24日生
所属・職名 日本赤十字社埼玉県赤十字血液センター 所長
東京女子医科大学名誉教授、顧問
昭和38年 3月 東京大学医学部卒業
昭和43年3月 東京大学医系大学院修了 学位授与
昭和43年 7月 東京大学医学部附属病院第三内科 助手
昭和44年11月 ニューヨーク州立大学内科学教室 講師
昭和49年 4月 自治医科大学医学部 助教授
昭和55年 1月 東京女子医科大学第一内科 助教授
昭和57年 4月 同 教授
平成 2年11月 東京女子医科大学血液内科 教授
平成 3年 7月 同 主任教授
平成12年 4月 東京女子医科大学医学部長
平成16年 4月 現職
他の役職
| 厚生労働省 |
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中央薬事審議会委員
(常任部会委員・再評価特別部会部会長・血液製剤特別部会部会長・企画制度・改正特別部会委員) |
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平成11年〜平成13年 |
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薬事・食品衛生審議会委員薬事分科会委員・医薬品再評価部会部会長・血液事業部会部会長 ) |
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平成13年〜平成16年 |
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特定疾患対策懇談会委員 |
平成11年〜 |
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厚生省特発性造血障害研究班 班長 |
平成 5年〜平成12年 |
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厚生科学審議会委員医薬品販売制度改正検討部会委員 |
平成16年〜 |
骨髄移植推進財団理事、
難病医学研究財団 理事、企画委員
独立行政法人医薬品医療機器総合機構評議員
日本白血病研究基金運営委員 |
専門分野 内科学、血液内科学(再生不良性貧血、白血病、悪性リンパ腫の病態と治療)
所属学会
日本内科学会(功労会員)
日本臨床血液学会(功労会員) |
日本血液学会(名誉会員)
日本輸血学会(会員) |
平成11年4月 第61回日本血液学会総会会長
平成13年8月 第30回国際実験血液学会(ISEH)会長
平成16年4月 第101回日本内科学会総会・講演会会頭
平成16年8月 国際血液学会 アジア太平洋地区 Vice President |
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