福原で開業して20数年経ちます。最初は、半分は子供たち主体の治療でしたが、最近は打って変わって基礎疾患を有する人や心筋梗塞(MI)に対して冠動脈インタベーション(PCI)、閉塞性動脈硬化症(ASO)、冠動脈疾患(CHD)、脳卒中の方・また、ガンの患者さんが目立ち始めました。これらこの調子で益々増加するのだろうか?毎日安全に歯科医療を行えるように実際には術前に全ての患者さんの血圧を測り、観血処置する場合はモニーターを付けて、また内科治療中の場合では担当医の先生に文章で対診を行って慎重に診療する次第です。
最近の状況を小林晋先生の文章
(『DENTALTODAY』2004年7月1日号抜粋)を引用させて頂くと、下記のような毎日です。
 
会杜、変わられたんですねる連日残業と接待・・・・・・やっぱり血糖値250以上じゃ、歯周病は・・・/早いねえ、もう中3か。受験勉強と吹奏楽部?なるほど。顎関節っていうのはね・・・/いや、抜かなきゃいけないんだけど、リウマチと狭心症だから。主治医に手紙で確認しないと。ステロイドと抗凝固剤が・・・/ええと、1月ご出産で、年末に2人目、と。レントゲンもクスリもやめた方が無難ですから、とにかく出来ることは・・・/ああ、お義母さんの介護で、夜眠れない、か。そりゃ、歯が一斉に浮くのも・・・/だから、これで30回目の説明ですけど、さし歯っていうのは、歯の根が残ってないと・・・/え、ご主人亡くなられたんですか・・・大変でしたね。その後、義歯が行方不明、と。ご主人が淋しがって一緒に持っていかれたかな・・・etc。
これすべて、診療室での日常会話。一見ムダな会話の中に病因を探り、その人に適した解決策を共に模索する。臨床とは、現場とは、その積み重ねでしかない。信頼も誠意も、その中でしか生まれない。
情報?設備?もっと大事なこともある。まず主役である患者さんが幸福と健康になるために、そしてもう一方の主役である医療従事者が「日常業務の中」に誇りと幸福を実感出来るために、また、病気を予防中心に持って行けないか?という今の歯科医療の混沌した状態をあらわしていると思います。

この様な診療を毎日毎日行っている内に、私は基礎疾患つまり内科疾患を有す患者さんがどれぐらい当医院に来院しているのか?と疑問に思った。
今まで統計的には何ら把握しないで診療をしていた。既往歴や問診から、・当医院での来院患者・当医院の年齢別基礎疾患率・喫煙率・高血圧の人数・糖尿病・心疾患・BMIのなどの数値を把握しようとデーターの入力を始めました。
2002年1月からぼちぼち始めましたが、その結果を『やげん』に書く機会を与えられましたので、御報告させて頂きます。
患者さんによっては、残念ながら歯は悪いが健康には以前から気をつけていたとか、逆に仕事は目一杯して自分の身体には全く関心がない等さまざまです。
同じ程度の疾病の患者さんにおいても、治癒状態が明らかに早い人、逆にどうも傷面の治癒が悪く遅いということを何回か経験し、局所的要因だけでなく、全身的要因やその人が健康のために行う運動(ウォーキング・カラオケ・ボーリング・ラジオ体操・社交ダンス・日本舞踊・太極拳・水泳・エアロビックス)等が左右しているのではないか?と考えるようになりました。確かに治癒する早さが違う。

人間ひとりひとり異なる「動脈硬化の進行度合い」が影響しているのではないかとも考えましれた。
「ヒトは血管と共に老いる」William Oslerの著書もありますが、いくら患者さんと共に頑張って歯科治療しても、生活習慣病からくる大動脈瘤破裂で亡くなられてしまった事があるのを思い出すと歯科医療の中に、生活習慣病の指導や予防の考えを入れた食生活指導、つまりよく噛んで唾液を出す(1日に約600ml、従来の1000〜1500ml唾液量は誤り)、食事とバクテリアの自浄作用、口腔内の潤滑、口腔内の酸中和、抗菌作用、溶解作用、話すこと、咀嚼、嚥下の円滑化、嚥下を促す食塊形成、食道洗浄と胃酸暖衝、高齢化すると段々唾液分泌量が少なくなる等々。それゆえに免疫力が弱まることも含めて患者さんに伝えたいことは山ほどあります。このようなことが参考になればと記載させていただきました。


福原歯科における総患者総数に対する内科疾患合併患者の比率を示します。(’01/11〜’04/01)

約半数40〜50%の人は、何らかの病気を有して歯科外来に通院中であることが分かります。
患者自身も2つ3つの病院を回ることは、退職して少しの時間が余裕ある人はよいが、仕事を持っている人は余計大変である。
 
対象:50〜80歳代での内科疾患合併患者の比率を示します。(’02/03〜’04/01) <図2>

50〜80歳に限定するとさらに内科疾患を有する患者は50〜65%に至る。

では、既往歴の中最も多い高血圧について通院中の高血圧症患者の比率を示します。<図3>
「対象:50〜80歳代」(’02/03〜’04/01) 20%〜30%の人が高血圧疾患の治療を受けていることが分かる。そこで、歯科治療を行う上でも当然、循環動態に注意が必要とされ、家庭血圧測定を考えるに至りました。
1) 当院における2000年1月〜2003年12月の初診患者(1,320名)のうちスクリーニング検査結果から内科疾患の疑いのある患者は36名であつた。
2) 年次推移では日本の高齢者人口の増に伴い当院通院患者においても年々内科疾患をもった患者の増加傾向が見られた。
3) 特に高血圧症をはじめとする循環器疾患に対する偶発事故に対して万全の予防策を講じる必要があると思われる。
4) 内科疾患を持った患者や高齢者の増加と共に、歯科においても初診時・再初診時の血圧・脈拍測定、必要ならば、血液検査などは必要不可欠であるとともに充分問診などを行って歯科治療にはいるようにしなければならないことが統計資料によって必要だと分かりました。
また、SAS睡眠時無呼吸症候群、メタボリックシンドロームの患者さん、ぺ一スメーカーやインタベーションの患者さん等、多くの人が慎重に歯科診療を行う上で内科との親密な連携をとりながら必要な検査を実行する毎日に追われています。それが安全な歯科治療に繋がると思います。
筆者 紹介

宝諸 博文

福原歯科医 院長
昭和27年9月生まれ
・日本大学歯学部 卒業
・日本大学歯学部総合歯学研究所 入室
・日本大学歯科麻酔学教室 入室
・柳澤歯科医院 勤務
・宝諸歯科医院 勤務
・福原歯科医院 開業
                   現在に至る
日本インプラント研究会 会員
・日本口腔インプラント学会 正会員
・Academy Osseointrgration member
・日本口腔インプラント学会 認定医 (平成12年2月29日まで在籍)
・日本有病者学会 会員
・Academy Osseointrgration Active member
・日本歯科麻酔学会 会員
・日本循環器予防学会 会員
 
 
 
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