|
| |
絶減したマンモスを生きかえらそうという研究が始まった。極寒のシベリアの凍土で発見される凍結マンモスの屍体から、体組織の細胞核を取り出し、クローン動物を作る方法でマンモスを復元させようという計画である。こんなことが本当にできるのでろうか。人のミイラからも生きている人間を復元させることができるのだろうか。
恐竜、始祖鳥などの化石が世界各地で発見されている。動物は死ぬとその屍体は微生物によって水と空気に分解される。ごく稀に水の中、土の中に埋もれた屍体の骨格と歯牙などは長い長い年月を経て化石になる。
マンモスは太古に亜熱帯、温帯地域に生息した動物であるが、突然、地球の急激な氷河期大変動によって、寒冷に適応できなかったマンモスは死減してしまった。生体のまゝ凍結したマンモスの遺体が酷寒のシベリア各地の永久凍土から発見されている。長毛で巨大な牙をもつ超大型の巨大マンモスが、生前の生きたまゝの姿で数多く発見されている。アフリカ象、インド象は種の保存、密猟防止のため象牙の商取引は一部を除いて禁止されているため、一万年前のマンモスの遺体から発掘される巨大な牙は象牙と同様に、印材、彫刻材として高価に商取引されている。私はマンモス象
牙の印鑑を大切に愛用している。
生命科学は20世紀の後半から飛躍的な発展をつゞけ、とくに生殖医学の領域には驚くべき多くの発見と開発がある。生殖細胞の精子、卵子の生命を永久に保存できる凍結保存、腹は借りもの胚移植による代理母出産、卵子に一匹の精子を注入する顕微授精などがある。また死亡直後の屍体から卵巣、精巣を摘出し凍結保存し、機会を見て解凍し卵子、精子を取り出し体外授精し、その胚を同種あるいは近縁種の代理母の子宮に移植して子供を生ませることもできる。この方法は牛に応用されているが、とくに稀少動物、絶減危倶種など、レッドデータブック動物の種の保存方法として応用されている。
この方法はシベリアのマンモスの復元に応用できる方法である。動物の死は個体の生命の死であるが、体組織、体細胞、生殖細胞などは個体の死後もしばらくは生きている。地球の急激な寒冷変動によって生体のま・急速に凍結死したマンモスの遺体から、雌の卵巣、雄の精巣を摘出し、卵子と精子を取り出し体外授精し、受精した胚を近縁種の象を代理母として、マンモスの赤ちゃんを生ませようという計画である。凍結卵巣と精巣の利用を開発した鹿児島大学農学部の後藤教授と京都大学農学部の生殖医学の権威である入谷教授とロシァの科学アカデミーの先生方との共同研究が始まった。まずシベリアの永久凍土から雌と雄のマンモスの凍結屍体の検索が始まった。発見に期待をかけて待つうちに、イギリスでクローン羊の成功が報道された。世界中の生命科学者を驚嘆させた大ニュースであり20世紀最大の生殖革命であった。子供は両親がいて生まれるが、クローンは片
親だけで子供が生まれる。体細胞の核を代理母に移植する方法で多くの琴畜と動物でクローンが生まれている。昨年末に人間のクローンベビー誕生?の報道があった。古代遺跡で発掘される人間のミイラの復元は、体細胞が枯死しているので復元はできないが、DNAによる復元の可能性は残されている。人のクローン、ミイブの復元など、やればできることであっても、人ではやってはいけないことでもある。
クローンで経済効率が最も高い家畜は牛で、世界各国で、日本でクローン牛が生まれている。優秀な雌の乳牛、肉牛から親牛とそっくりの雌の子牛が代理母牛の腹を借りて生ま舛ている。競走馬のサラブレッドに応用したいクローンの手法であるが、競走馬は人工授精、胚移植、クローンなど生殖操作で生まれた子馬はレースに出走できない規制があり馬のクローンは試みられていない。
マンモスをこのクローンの方法で復元させる研究が始まった。昨年8月、シベリアの東部で、生きていた当時の姿そのま・の凍結マンモスが発見された。ロシアのマンモス博物館に展示されている。その脚の一部が岐阜県科学技術センターに送られてきた。京大定年後、近畿大に移られた入谷教授らとの共同研究が再開された。マン干スの体細胞から採取し大細胞核を・近縁種の象を代理母としてマンモスのクローンベビーを生ませようという計画である。
現在開催されている愛知万博にロシアの凍結マンモスが展示されている。愛知万博には間にあやなかったが、5年後、10年後の将来に大きな夢とロマンをかけた21世紀最大のプロジェクトである。
私はその成功め可能性は充分にあると期待している。 |
|
| (埼玉県獣医師会報478号) |
| |
| 佐久間先生のプロフィール |
S
H
H |
37…
6…
16… |
農博士(東北大)
日大教授定年退職
日本哺乳動物卵子学会
日本授精着床学会
埼玉県馬術連盟
日本鹿研究奉
料亭佐久間旅館(創業百年)
瑞宝中綬章叙勲
|
:名誉会員
:名誉会員
:理事
:会長
:会長 |
| 他多分野にてこ活躍 |
|
| |
|